高齢者の一人暮らしと不安な介護・制度について
 
少子高齢化の加速にともない、一人暮らしをする高齢者の数は増え続けています。高齢者の一人暮らしで心配な事は、介護問題ではないでしょうか?特に、要介護認定を受けている高齢者は日常生活において介護を必要とする為、一人暮らしをしても良いのか不安を感じる人も多いと思います。
こちらの記事では高齢者が安心して一人暮らしする為にできる対策をご紹介します。
 

  介護が必要な高齢者でも一人暮らしは可能?

 
一人暮らしをするならある程度身の回りの事ができる方が生活は安定します。介護といってもその幅は様々です。
要介護認定を受けている高齢者でも、一人暮らしが可能な場合があります。ただ、介護が必要な度合いを表す、【要介護度】によって状況は異なってきます。
要介護とは、高齢者や障害のある人が、日常生活を送るうえでどれだけ介護や支援が必要かを示す指標です。この介護サービスの利用範囲や内容が決まります。
 
要介護度は、要支援1.2、要介護1~5の7段階に分けられており、数字が大きくなるほど介護が必要な状態が重度であることを示します。
 
詳しくは下記のサイトを参照ください。
参照:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
参照:厚生労働省「2015年の高齢者介護」
 
 
上記のように、要介護度がどれくらいかによって介護が必要な範囲は大きく異なります。なお、要支援と要介護では、介護保険を使って利用できるサービスと申請先に違いがあります。
 

要支援

介護保険で利用できるサービス…介護予防サービス
■サービス申請先…地域包括支援センター
 

要介護

■介護保険で利用できるサービス…介護サービス
■サービス申請先…居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)
 
 
 
 

 高齢者が一人暮らしをできる要介護度

 
要介護認定を受けていても、場合によっては一人暮らしが可能とお伝えしました。それでは一人暮らしができる要介護度はどれくらいなのか解説します。
なお、ここで紹介する基準はあくまで目安の為、要介護度が低いからと言って、必ずしも一人暮らしが出来るとは限りません。個々の状況や周囲のサポート体制、環境などに応じた判断を行ってください。
 
要支援1.2、要介護1は一人暮らしが可能
 
要支援1と要支援2の高齢者は、日常生活を自力でこなす事ができる為、一人暮らしは可能と言えます。ただ、要支援状態に比べ、身体能力や認知機能が低下している為、日常の生活動作の一部や立ち上がり、歩行に関してサポートが必要と言えます。
 
要介護1の状態での、日常生活において自力で出来る事、出来ない事の目安は▼以下の通りです。
 

自力でできる日常生活の動作

食事、排泄物など身の回りに関する基本動作
 

サポートを必要とする日常生活の動作

・支え無しでの立ち上がり
・安定した歩行
・トイレや入浴における見守り
 
 
要介護2でも一人暮らしは可能
 
要介護2の高齢者は、要介護1よりも身体能力や認知機能が低下した状態となります。要介護1に比べ日常的に介護を要する場面も増えます。
 
要介護2における日常生活において自力で出来る事、サポートを必要とする事例は▼以下の通りです。
 

自力でできる日常生活の動作

食事、排泄物など身の回りに関する基本動作の一部
 

サポートを必要とする日常生活の動作

・立ち上がりと歩行
・入浴・着替え
・一定の理解・判断を必要とする
 
 
要介護3では一人暮らしの壁が高くなる
 
要介護3になると、介護サービスの利用が必要で、要介護2よりも幅広い場面でサポートが求められます。
 
要介護3における日常生活において自力で出来る事、サポートを必要とする事例は▼以下の通りです。
 

自力でできる日常生活の動作

・基本的なコミュニケーション
・簡単な思考や物事への理解
 

サポートを必要とする日常生活の動作

・食事・排泄・入浴・着替えなどの身の回り全般
・立ち上がりと歩行

・家事全般
・高度な思考力・理解力・判断を求められる行為
 
 
 

  まとめ

 
一人暮らしの高齢者は年々増加いており、介護認定を受けながら一人暮らしを続ける高齢者は少なくありません。要介護1.2程度までの比較的軽度な要介護状態であれば、介護サービスを利用しながら一人暮らしをする事は可能と言えます。
一方、要介護3以上になると日常生活全般での介護が求められるため、家族の同居や施設入居が必要になります。
一人暮らしの高齢者が介護に困らず生活していくには、本人の意識はもちろん、何よりも家族や周囲の人のサポートが重要です。