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賃貸借契約の更新とは |
賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」という2種類の契約があります。このうち、多くの賃貸物件に用いられているのが普通借家契約で、契約期間後も契約の更新をすれば現在の住まいに住み続けることが可能です。一方の定期借家契約はそもそも更新の概念がなく、一般的には「契約期間の満了=契約の終了」を意味します。ただし、定期借家契約の場合も大家さん(貸主)と借主双方の合意があれば、再契約が可能です。この可否については、契約前であれば仲介の不動産屋さん、契約後であれば管理会社や大家さんに確認しておくと良いでしょう。
▼契約更新は2年に1度が一般的
契約更新は、契約期間の満了をもって発生します。つまり、契約期間が2年間であれば更新も2年に1度、3年間であれば、3年に1度の頻度で行われます。普通借家契約の場合、契約期間は2年間であることが一般的です。これには、「1年未満の契約は法律上、期間の定めのない契約となってしまうこと」「3年以上は個人がライフプランを設計しにくいと考えられていること」などが加味されています。したがって、契約更新も2年に1度が一般的でしょう。
▼更新料の相場
更新料については地域差が存在します。関東では半数以上の賃貸物件で支払われている更新料ですが、京都を除く関西や九州では更新料がない物件の方が一般的です。また、同じ地域内であっても物件ごとに更新料の有無や金額が異なる場合もあります。少し前のデータになりますが、国交省が2007年に発表した調査結果によると、都道府県別の更新料(平均)は以下のとおりです。
- 東京都: 賃料1ヶ月分
- 千葉県: 賃料1ヶ月分
- 埼玉県: 賃料0.5ヶ月分
- 神奈川県: 賃料0.8ヶ月分
地域の賃貸物件事情に精通している不動産屋さんであれば、その地域における更新料の相場を把握しているはずです。契約前に、「契約書に記載されている更新料が妥当なものであるのか」確認すると良いでしょう。一方で契約後は、借主にとって著しく不当な条件でない限り、更新料の金額や支払いについて異議を唱えることは難しいと言えます。更新料の支払いは法律で定められたものではありません。しかし、地域によっては更新料の支払いが慣習化されていることや、締結済みの賃貸借契約書に記載がある場合は支払う必要があることを覚えておきましょう。
更新する際の注意点 |
具体的な更新の流れは以下のとおりです。
- 物件の管理会社or大家さんから「更新のお知らせ」が届く(契約満了日の1~2ヶ月前)
- 期日までに更新契約書、その他指定された書類に署名・捺印をして返送する
- 期日までに更新料や手数料などの費用を振り込む
もしも、契約満了日の1ヶ月前になっても更新のお知らせが届かない場合は、一度問い合わせをすると良いでしょう。
▼契約内容に変更が生じる場合も
更新のお知らせや同封書類に契約内容の変更に関する記述がない場合は、契約内容は当初のものをそのまま引き継ぎます。ところが大家さんによっては、更新のタイミングで契約内容を変更する場合もあるので、書類はよく確認するようにしましょう。変更が生じるものの例として挙げられるのが賃料です。当初結ばれた契約書では多くの場合、「貸主及び借主は一定の条件を満たす場合は協議の上、賃料を改定できる」旨の記載があります。ここで言う「一定の条件」とは、「近隣の似たような条件の物件と比べて賃料が不相当である場合」や「資産価値や税金の増減、その他経済的事情がある場合」が該当します。つまり賃料の改定は、上記の事情を踏まえた上で双方が合意することが前提です。一方的な値上げに納得できない場合は、管理会社や大家さんに問い合わせ協議するようにしましょう。
▼更新せずに解約する場合
契約更新のタイミングで、更新をせずに解約を選択する人もいるのではないでしょうか。更新のタイミングにおいて賃貸物件を解約する場合は、以下の点に注意が必要です。
▼更新料が発生しないように解約を通知する
解約をする場合は、契約書に定められた期日までに解約を通知しなければなりません。期日は、退去日の1ヶ月前までとしているものが一般的です。このとき、退去日が契約満了日よりも1日でも後ろにずれてしまうと更新料の支払い義務が発生してしまいます。1ヶ月分の賃料を支払うことで即時解約も可能ですが、費用負担があることに変わりはありません。解約をする場合も時間に余裕を持って行動するようにしましょう。
「更新しない=退去」とならない
賃貸借契約は、更新をしなければ自動的に解約になるものではありません。詳しくは後述しますが、退去をする際には、必ず解約の意思表示(解約通知)が必要となることを覚えておきましょう。
▼更新をし忘れてしまった場合
日々忙しく生活をしている人の中には、うっかり「更新手続きをし忘れてしまった」という人もいるかもしれません。気づいたときには、契約満了日間際だったり、それを超過していたり、ということも起こりえます。しかし、借主側から解約の意思表示をしていない以上、大家さん側からも更新手続きをしていないことを理由に退去を迫ることはできないとされています。
更新手続きを経て更新をしたものを「合意更新」、そうでないものを「法定更新」と呼びます。法定更新では、法律に基づいて契約そのものは自動更新となるものの、「期日の定め(契約期間)のない契約」となってしまいます。この場合、退去する際には退去予定日の6ヶ月前に通知が必要となるなど、借主にとって不利とも言える条件が付与されるので注意が必要です。
更新時に発生する費用 |
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大家さんとの間に管理会社がいる場合、同社に対しても更新手数料が発生する場合があります。更新事務手数料とも呼ばれます。これはその名のとおり、管理会社が更新の事務手続きを行ったことに対する手数料です。金額は、1万円程度の場合もあれば、賃料の0.25ヶ月~0.5ヶ月分、高ければ同1ヶ月分の場合までと物件によって異なります。
▼損害保険料(住宅火災保険・住宅総合保険)
賃貸物件に住む場合は、契約時に住宅火災保険、または住宅総合保険への加入を義務付けているケースがほとんどです。通常、建物全体に対する保険は大家さんが加入しますが、個々の居室内で起こり得る火災をはじめとした事故や災害に対する保険は借主負担で加入します。これら損害保険の契約期間は、賃貸借契約の一般的な契約期間と同じ2年間としているケースが多いため、更新時には新たに2年間分の保険料が発生します。費用は、保険の種類や補償金額、保険会社によって異なるため一概には言えません。更新時の保険料を事前に把握したい場合は、管理会社か保険会社へ問い合わせると良いでしょう。
▼更新保証料(保証会社利用時)
最近では連帯保証人を立てない代わりに、借主が賃貸保証会社(家賃保証会社)と「保証委託契約」を結ぶことが多くなってきました。これは、何らかの事情で借主が賃料を支払えない場合に同社が大家さんに立替払いをするものです。保証委託契約は1年更新としているものが多く、賃貸借契約が続く限り毎年、更新保証料が掛かります。費用は、初年度が賃料の0.5ヶ月~1ヶ月分、2年目以降が1万円前後であることが一般的です。
更新をするか迷った時 |
普通借家契約の場合は、契約期間中に中途解約をすることも可能です。しかし更新にそれなりの費用を支払う以上、更新するか否かについては慎重に検討することをオススメします。まずは、現在の契約内容や物件、生活環境に不満がないか考えてみましょう。当然、自分にとって100%満足がいく賃貸物件に巡り合うことは容易ではなく、どこかで妥協をしている人も多いかもしれません。しかし、自分の中での優先順位や譲れないものを考えたときに、納得がいかない場合や明らかに自分にとってマイナス面が大きい場合は、住み替えを視野に入れても良いのではないでしょうか。また、契約内容や設備面、他の入居者への不満がある場合には、更新前に管理会社や大家さんに相談をしてみるのも1つの手段です。大家さんにとっては、退去が発生すれば新たに入居者を探す時間や手間が掛かるため、内容によっては理解を示したり要望に応じてくれたりする場合もあるでしょう。
▼更新時と解約時の費用負担額を計算してみる
地域差はありますが、契約の更新には一定の支出が伴います。更新を迷っている場合は、更新時と解約時の費用負担額を比較してみるのもオススメです。更新時に掛かる費用については既にご説明したとおりですが、解約時は以下の費用がかかります。 なお、今回は現在の住まいを退去した後、新たに契約した賃貸物件へ転居する前提で記載しています。
・原状回復費用
契約書の記載に基づき、退去時に借主負担の修繕費が発生する場合があります。
・ハウスクリーニング代、エアコンクリーニング代、鍵交換代等
その他、契約書本文や特約事項欄に記載があるものは支払い義務が発生します。
・引越し費用
時期や移動距離、荷物の量によっては高額になりうるので注意が必要です。
・初期費用
賃貸物件契約時の初期費用は、賃料の5ヶ月分前後であることが一般的。
実際に比較してみると、解約をして新居へ引っ越す場合の方が一時的な支払い金額は多いかもしれません。しかし2年間、もしくはそれ以上の期間で考えた場合、新居の賃料によっては支出総額が逆転する可能性もあります。長期的な支出も視野に入れつつ、より納得感がある方を選ぶと良いでしょう。
まとめ |
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